青い空、一筋の白い飛行機雲
暑かった夏のある日の午後、清掃工場の高い煙突を下から見上げると、その煙突の先にある青い空には、一筋の白い飛行機雲が伸びていました。長く伸びた飛行機雲の先端をよく見てみると、西の空に向かって飛行するジェット旅客機の機影がありました。
今、ジェット旅客機が使用する航空燃料に、食用油(廃食用油)などを活用するリサイクルの取り組みが行われているのをご存じでしょうか。
SAF(Sustainable Aviation Fuel)持続可能な航空燃料。この航空燃料は、従来のものに比べると生成方法にもよりますが、二酸化炭素(CO2)排出量を最大で約80%削減することができるとも言われています。CO2の増加は地球温暖化による気候変動とつながっていると考えられていますので、その排出量を削減する取り組みは、もはや深刻な状態にある環境問題を思うと、その動向に大いに期待が寄せられます。
現状ではコストや原料の確保、技術的な問題等重要な課題もあるようですが、国内では2030年時点で日本の航空会社による燃料使用量の10%をこのSAFに置き換える目標が掲げられており、東京都は、先月開催された東京2025世界陸上と連携して、都庁や多摩市も含めた都内の区市町に、SAFの原料となる廃食用油の回収拠点を設置し、「家庭の油で飛行機を飛ばそう」と題して、SAFの認知度向上を図るキャンペーンを実施していました。SAFの原料を収集する活動には、様々な企業が取り組みと支援を始めています。また、SAFの導入拡大は国内だけではなく、世界各国でも環境負荷の少ない燃料の義務付けを行うなど、政策の整備が進められているようです。
近い将来、青い空にある一筋の白い飛行機雲は、ご家庭から出た廃食油由来の燃料で飛行するジェット旅客機の航跡からなるものかもしれません。